01腸内環境の乱れ

◎腸内環境の乱れから起こる不調(1)

  • イライラしやすい、キレやすい、情緒不安定、疲れやすい、緊張状態、不安感、痩せにくい、便秘 (2~3日に1回)、下痢、肌荒れ、膨満感、肌がかさつく、便やおならが臭い、くすみ、アレルギー、しわ、シミ、ニキビ

【食習慣・生活習慣】

  • 甘い物:ほぼ毎日(よく食べる)
  • 外食:ほぼ毎日(週に3~5回)
  • 便:薬に頼る
  • ストレス:強く感じる(感じる)
  • 水分:500mL以下
  • 運動する回数:全くしない

【その他】

  • 感染症にかかりやすい・お腹がはる
  • 膣カンジダ・水虫・頭痛

こんな方は、腸内環境のバランスの崩れからの症状かもしれません

◎栄養は腸で吸収される(1)

  • 口腔
    • 食物
    • 約30~60秒
  • 食道
    • 液体1~6秒
    • 約4時間
    • アルコール
  • 十二指腸
    • 水溶性ビタミン (ビタミンB12は除く)
    • 脂溶性ビタミン
    • 脂質
    • カルシウム
  • 空腸
    • 約9時間
    • 糖質
    • アミノ酸
  • 回腸
    • ビタミンB12
  • 大腸
    • 約12~24時間
    • 水分
  • 肛門
    • 糞便

看護のための病気のなぜ? ガイドブックより

消化管は体外
消化液は外分泌
栄養素は腸に到達して初めて体の中に吸収されます。栄養素が吸収されるのは90%以上が小腸です。
腸はまさに体内の入り口であり、きわめて重要な関所なのです。

小腸の役割(2)

  • 栄養の消化と吸収
  • 免疫機能(異物の除去)

小腸

  • 十二指腸:胃から約25cm、C字型に湾曲した部分
  • 空腸:小腸のうち40%
  • 回腸:小腸のうち60%
  • 小腸の長さ:6~7m

腸管内の免疫細胞(2)

  • 外敵はM細胞から取り込まれ、腸管内の免疫細胞と出会います

小屋の断面

  • 絨毛
  • 上皮細胞
  • 外敵
  • M細胞
  • 樹状細胞
  • B細胞
  • T細胞
  • パイエル板
  • マクロファージ
  • リンパ管
  • ナチュラルキラー細胞

大腸の役割(2)

  • 細菌が1.0~1.5Kg、600~1000兆個程度生息している
  • 水分やミネラルを吸収し、便を作る
  • 発酵(短鎖脂肪酸の生成)
    • 乳酸菌やビフィズス菌など腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を餌にして発酵し短鎖脂肪酸や乳酸を作り出す
  • 腸内細菌がビタミンを生成
    • ビタミンB1・B2・B6・B12、葉酸、ビタミンK、パントテン酸、ビオチンなど
  • 幸福ホルモン(セロトニン)の合成
    • トリプトファンを原料にセロトニンを作り、脳に刺激を与える

腸内環境のプラス・マイナス効果(2)

腸内環境が整うことによるプラス効果

  • 栄養素の消化吸収が良くなる
  • 免疫機能が上がる
  • ホルモン分泌高まる(インクレチン・セロトニン)→血糖バランスが整い精神も安定
  • ビタミンや、短鎖脂肪酸や乳酸を腸内細菌が作り出してくれ代謝アップ
  • ミネラルをイオン化し、吸収が良くなる

腸内環境が乱れることによるマイナス効果

  • ガスが発生
    • アンモニアやインドールなど→肝臓負担
  • 免疫機能が下がる
  • ホルモン分泌低下(インクレチン・セロトニン)→肥満や精神の不安定
  • ビタミン・ミネラルの吸収低下による代謝低下
  • 炎症・アレルギー・リーキガット症候群のリスクが高くなる

LGS (リーキーガットシンドローム)(3)

腸は栄養素を効率的に吸収する一方で、腸内細菌などが体内へ入ることを防ぐために、腸管上皮細胞によるバリア機能を有しています。リーキーガットとは、腸管上皮細胞によるバリア機能が低下して未消化物や老廃物、微生物成分などが生体内に漏れ出す状態のことをいいます。そのことが炎症の原因となり、自己免疫疾患やアレルギー、感染症など多くの疾病の発症に大きく関わっています。

上皮細胞 (小腸)

  • 腸内細菌
  • 食物成分
  • タイトジャンクション
  • 上皮細胞の間に隙間ができること (リーキーガット)
  • 細菌や食物成分が血管などに入り込み、炎症や食物アレルギーの要因に
  • 抗菌タンパク質
  • 健康な腸
  • スキマができた腸
  • 粘液
  • 腸壁

SIBO (小腸内細菌増殖症)(3)

大腸には多くの腸内細菌が存在します。一方、栄養を吸収する場の小腸にはあまり多くの細菌は存在しません。しかし様々な原因から小腸内細菌が急激に増殖し、豊富な栄養を分解して多量のガスを産生してしまうことがあります。これをSIBO (小腸内細菌増殖症)といいます。

FODMAP食

  • Fermentable (発酵性)
  • Oligosaccharides (オリゴ糖)
  • Disaccharides (二糖類)
  • Monosaccharides (単糖類)
  • And
  • Polyols (ポリオール)

※SIBOが疑われる場合は専門医に相談し、適切な検査を受けられることを推奨します。

STEP01ー原因を見つける(3)

腸内環境が乱れる原因

  • 過剰摂取
    • グルテン(小麦製品)
    • カゼイン(乳製品)
    • 高脂肪(肉など)
    • 酸化した油
    • リノール酸
    • トランス脂肪酸
    • 加工食品
    • 加工肉
    • 添加物
    • 高糖質食品
    • 人工甘味料など
  • 摂取不足
    • 発酵食品
    • 食物繊維
  • 自律神経の乱れ・交感神経優位(腸の蠕動停滞)
    • ストレス
    • 生活習慣の乱れ
  • 運動不足
  • 水分摂取不足
  • カビ(腸カンジタ菌・水虫など)
  • 抗生物質

STEP02ー控えるもの(4)

未消化になりやすいタンパク質

  • グルテン (小麦タンパク質)
    • 小麦に含まれるグルテンは分解されにくい構造をしていて、未消化のまま腸に入ると、腸の粘膜に傷をつけ、炎症を引き起こす (LGS)。
    1. 炎症・アレルギーを起こす (炎症性サイトカイン↑)
    2. LGSが起こる
    3. 脳の中毒性 (グリアドーフィン)
    4. 血糖値の上昇

【グリアジンとグルテニンによるグルテンの網目構造】

  • グリアジン
    • 弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすい性質
  • グルテニン
    • 弾力に富むが伸びにくい性質のタンパク質

この2つの性質の異なるタンパク質が結びつくと、両方の性質(粘着性と弾性)を適度に兼ね備えたグルテンになります。

【グルテン含むもの・含まないもの】

●グルテン含むもの

パン、パスタ、うどん、ラーメン、焼きそば、マカロニ、麩、小麦粉、全粒粉、パン粉、ピザ生地、天ぷらや唐揚の衣、餃子の皮、ワンタン、あんまんの皮、洋菓子(ケーキ、クッキー、マフィン、スコーンなど)、市販のカレーやシチューのルウ、ビール、発泡酒

●グルテンフリーなもの

米、餅、雑穀、十割そば、ビーフン、春雨、米粉めん、米粉、玄米粉、そば粉、大豆粉、片栗粉、葛粉、魚介類、肉、卵、芋類、野菜、果物、豆類、乳製品、ナッツ、ドライフルーツ、和菓子、チョコレート、お茶類、豆乳、日本酒、焼酎、ワイン、シャンパン、ウィスキー、ウォッカ、梅酒

【代替品】

  • 米粉パスタ
  • フォー・ビーフン
  • 米粉パン
  • 米粉パンケーキ
  • おからパウダー
  • 米粉のルー
  • 米粉のパン粉
  • その他
    • 米粉(上新粉、白玉粉・だんご粉など)、雑穀粉、大豆粉

【グルテンを含まない外食の選び方】(5)

  • 日本食 (定食・蕎麦屋・寿司屋・日本酒・焼酎)
    • 蕎麦、和定食、寿司、日本酒
  • アジアン料理 (ベトナム・インドネシアなど)
    • カレー (インド・ネパールなど)、生春巻き (ベトナム料理)

ガゼイン(乳製品)
牛乳に含まれるカゼインは、分解されにくいアミノ酸配列をしており、未消化のまま腸に入ると、腸の粘膜に傷をつけ、炎症を起こす。

  1. 炎症・アレルギーを起こす (炎症性サイトカイン↑)
  2. LGSが起こる
  3. 脳の中毒性 (カソモルフィン)
牛乳・乳製品の代用品
  • 豆乳・豆乳ヨーグルト
  • アーモンドミルク
  • ライスミルク
  • ココナッツミルク

炎症を誘導する脂肪酸(5)

  • 飽和脂肪酸 (肉類・乳製品など)
  • オメガ6系脂肪酸 (リノール酸・アラキドン酸) (大豆油・紅花・コーン油など)
  • 酸化した油 (コンビニ弁当・スナック菓子・レトルト食品・惣菜・インスタントラーメン・外食・できあいの総菜や揚げ物・マヨネーズなどの調味料など)
  • トランス脂肪酸 (マーガリン、ショートニング、加工食品、ファストフードなど)

オメガ6不飽和脂肪酸とオメガ3不飽和脂肪酸

リノール酸が代謝されるとアラキドン酸を経て、炎症を引き起こす生理活性物質 (プロスタグランジンなど) というものが生成されます。

オメガ6不飽和脂肪酸由来メディエーター

  • 慢性炎症・組織ダメージ
  • がん細胞の増殖促進
  • アポトーシス抵抗性
  • 血管新生亢進 (こうしん)
  • 移転・浸潤の促進

オメガ3不飽和脂肪酸由来メディエーター

  • 炎症抑制、組織保護
  • がん細胞の増殖抑制
  • アポトーシス誘導
  • 血管新生阻害
  • 移転・浸潤の抑制

腸内環境を乱す高糖質食品(5)

  • ブドウ糖果糖液糖
  • 精製糖質 (白ご飯、うどん、パンなど)
  • 過剰なアルコール
  • 人工甘味料

腸の負担が増え、免疫力を低下させる食品(5)

  • 加工食品・加工肉 (ハム・ソーセージなど)、亜硝酸塩、添加物 (保存料・着色料・乳化剤)、旨み調味料

STEP03ー積極的に取り入れる食品

積極的に取り入れたい食品は、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌など)とプレバイオティクス(食物繊維・オリゴ糖)です。

プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌など)(6)

プロバイオティクスは、乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、酵母菌、麹菌そのものを摂取することです。主に発酵食品に含まれ、代表的なものには乳酸菌やビフィズス菌があり、植物性のものがおすすめです。

  • 発酵食品: 納豆、ぬか漬け、キムチ、味噌などです。

日本伝統の調味料を使う

プレバイオティクス(食物繊維・オリゴ糖)(6)

プレバイオティクスは、善玉菌の好物(腸のために増やしたほうがいい食べ物)を摂ることを指します。

  • オリゴ糖: 善玉菌のエサになり発育を助け、悪玉菌の繁殖を抑えます。
    • 含まれる食品: キャベツ、大豆、玉ねぎ、バナナ、とうもろこし、ごぼうなど。
  • 食物繊維: 大腸の蠕動(ぜんどう)運動を促し便通をよくし、悪玉菌の繁殖を抑えます。
    • 含まれる食品: 玄米、ごぼうなどの根菜類、海藻、果物(ペクチン)、こんにゃくなど。
良い菌(善玉菌)を育てる食物繊維の多い食べ物7
  • 寒天、もち麦、こんにゃく、山芋、もずく、納豆、とろろ昆布、わかめ、オクラ、アボカド、モロヘイヤ、豆類、きのこ類、かぼちゃ、キウイ、ごぼう

腸内細菌の代謝産物(短鎖脂肪酸)

食物繊維を食べると、腸に届き、善玉菌が発酵分解し、有効物質である短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)を腸内で生成します。

短鎖脂肪酸の働き

  • 悪玉菌の増殖を抑える
    • 腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える。
  • 腸のバリア機能(免疫)を高める
    • 炎症・食中毒を防ぐ。
  • 肥満予防
    • ホルモン「インクレチン」を増やし、血糖値の上昇を防ぎ、肥満を予防する
  • 腸の蠕動運動を活発にする
    • 大腸上皮細胞のエネルギー源になり、腸の蠕動運動を活発にする。
  • アレルギーの改善
    • 免疫機能を整える

抗炎症効果のあるおススメ脂肪酸(8)

抗炎症効果のある脂肪酸

  • オメガ3系脂肪酸 (α-リノレン酸・EPA・DHA)、MCTオイル

▶亜麻仁油・えごま油・インカインチオイル (サチャインチオイル)

▶青魚(EPA・DHA)・クリルオイル

亜麻仁油・荏胡麻油 選び方のポイント

  • 化学溶剤(ヘキサンなど) 不使用
  • コールドプレス(低温圧搾)
  • 遮光ビンや化粧箱のあるもの
  • 有機JAS認定のもの

腸管粘膜粘液バリア・粘膜細胞の代謝・栄養

  • ビタミンA・亜鉛・・・腸管粘膜粘液バリアの材料
  • 免疫調整・粘膜細胞の新陳代謝 ▶ ビタミンD
  • 小腸の粘膜細胞の栄養 ▶ グルタミン

STEP04ーその他のアドバイス

  • 自律神経を整える
    • 早寝・早起きなど・朝食を食べて自律神経のスイッチを押す・胃腸・排便スイッチ
  • カラダを冷やさない
    • リンパ球を増やす
  • 水分をしっかり取る
    • 便通をよくする
  • ストレスマネジメント
    • リラックスして自律神経を整え胃腸の動きをスムーズにする
  • 適度な運動をする
    • 体の振動や筋肉の動きが腸内の便の動きをサポートする
  • ミネラルファスティング
    • 定期的にファスティングをする

交感神経優位:ぜん動抑制

副交感神経優位:ぜん動促進

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STEP05ーまとめ

原因
  • 過剰摂取
    • グルテン(小麦製品)、カゼイン(乳製品)、高脂肪(肉など)、酸化した油、リノール酸、トランス脂肪酸、加工食品、加工肉、添加物、高糖質食品、人工甘味料など
  • 摂取不足
    • 発酵食品、食物繊維
  • 自律神経の乱れ、交感神経優位
    • ストレス・生活習慣の乱れ
  • 運動不足
  • 水分摂取不足
  • カビ
  • 抗生物質
控えるもの
  • 未消化になりやすいタンパク質
    • グルテン(小麦製品)、カゼイン(乳製品)
  • 炎症を誘導する脂肪酸
    • 飽和脂肪酸(肉類・乳製品など)
    • オメガ6系脂肪酸(リノール酸・アラキドン酸)(大豆油・紅花・コーン油など)
    • 酸化した油(コンビニ弁当・スナック菓子・レトルト食品・惣菜・インスタントラーメン・外食・できあいの惣菜や揚げ物・マヨネーズなどの調味料など)
    • トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、加工食品、ファストフードなど)
  • 腸内環境を乱す高糖質食品
    • ブドウ糖果糖液糖
    • 精製糖質(白ご飯、うどん、パンなど)
    • 過剰なアルコール
    • 人工甘味料
  • 腸の負担が増え、免疫力を低下させる食品
    • 加工食品、加工肉(ハム・ソーセージなど)
    • 亜硝酸塩
    • 添加物(保存料・着色料、乳化剤)
    • 旨み調味料
積極的に摂るもの
  • プロバイオティクス
    • 乳酸菌・ビフィズス菌・(納豆菌、酵母菌、麹菌)そのもの
    • 納豆、ぬか漬け、キムチ、味噌
  • プレバイオティクス
    • オリゴ糖(キャベツ、大豆、玉ねぎ、バナナ、とうもろこし、ごぼう)
    • 食物繊維(玄米、ごぼうなど根菜類、海藻、果物(ペクチン)、こんにゃく)
  • 抗炎症効果のあるオススメ脂肪酸
    • オメガ3系脂肪酸(リノレン酸 EPA、DHA)・MCTオイル
    • えごま油・亜麻仁油・インカインチオイル(サチャインチオイル)、青魚(EPA DHA)、クリルオイル
  • 腸管粘膜液バリア 粘膜細胞の代謝・栄養
    • ビタミンA・亜鉛(腸管粘膜粘液バリアの材料)
    • ビタミンD(免疫調整、粘膜細胞の新陳代謝)
    • グルタミン(小腸の粘膜細胞の栄養)
その他のアドバイス
  • 自律神経を整える
    • 早寝・早起きなど・朝食を食べて自律神経にスイッチを押す・胃腸・排便スイッチ
  • カラダを冷やさない
    • リンパ球を増やす
  • 水分をしっかり取る
    • 便通をよくする
  • ストレスマネジメント
    • リラックスして自律神経を整え胃腸の動きをスムーズにする
  • 適度な運動
    • 体の振動や筋肉の動きが腸内の便の動きをサポートする
  • ミネラルファスティング
    • 定期的にファスティングをする